定食屋さん
池袋から高田馬場まで歩いた。
30分で歩ける道を、1時間かけて。
いつも見ているビルが、
半分より上は赤く光って、
もう半分は白く光っていること。
リボンの形をした蜘蛛の巣が
フェンスにかかっていたこと。
歩くと、
少し変なところに気づいた。
途中で
いつも電車から見下ろしている川を見た。
川の水がさらさらと流れていて、
キラキラとまでは言えないけれど、
静かに光っていた。
川にかかる橋を渡ると、
繁華街が見えてきて、
道を行き交う人の声が
イヤホンを通り越して耳に入ってきた。
賑わう通りの奥に、
いつかの日に君と行った定食屋さんが見える。
繁華街の賑やかさと、
通りの明るさに隠れていて、
とても古めかしく感じる。